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DX推進を成功させるために

DX推進を成功させるために

2022/11/18

はじめに

前回までに、DXの定義や日本と欧米とでの比較と、現場での実情について整理しました。

今回はこれらを踏まえて、会社のDXの推進方法のポイントを考察してみます。

 

DXの推進方法について

前回の記事の中でも、欧米と日本ではDXに対する捉え方が大きく異なっていることを示しましたが、何が異なっており、現在のような評価となっているのでしょうか。

大きく下記の3つがあるのではないかと思います。

  1. DXの定義の理解不足
  2. 戦略とそれに対する推進力の不足
  3. 人材の育成不足

 

1つ目のDXの定義は、過去の記事でも触れては来ていますが、やはり全体として言葉が先行して、実際に施策に落し込む際にはその目的が失われているということが多いのではないかと思います。これにより欧米との差も出てきていると思います。

様々なところで定義の仕方は異なるものの、大きく下記の3つのステップに分けて整理されていることが多いと思います。

 

「デジタイゼーション」→「デジタライゼーション」→「デジタルトランスフォーメーション」

 

そして、本当の意味でのDXは言葉の通り「デジタルトランスフォーメーション」です。しかし、この3つの差が曖昧に理解されていることもあり、紙媒体をデジタルする対応(デジタイゼーション)だけになっていたり、社内の一部業務をツールによりデジタル化する(デジタライゼーション)だけになったりしています。

思った通りの結果が出てこないというのは、この理解不足が原因となることもあると思います。これまでも記載してきた通り、DXが組織・業務そのものを、デジタル技術を活用し新規に創出・変革するような取組ということを、トップだけでなく、社員全員が理解・認識することが必要です。このためには、全体への啓蒙活動等の継続した細かな活動が必要になります。

 

2つ目は、前述のとおり組織にとっても大きな変革になるため、会社としての戦略とそれを推進していく力が必要になってきます。この戦略立案や推進のために、個別の組織を立て推進することが多いのではないかと思います。

しかし、日本の企業文化は、過去の高度経済成長の流れもあり、現場主義・現場が強いことが良くあります。かんばん方式や“改善”で代表されるように、現場からものを良くしようとする働き自体は素晴らしいことだと思います。しかし、DXの推進はこれまでの会社の方針が変わる、業務が大きく変わる、人員の異動を伴う等、現場にもそれなりの負荷がかかります。このため、現場の強い反発にあうことや、反対により本来の目的を失うということが起きてしまいます。

このため、推進は、会社としての戦略を整理し、現場に繰返し説明すると共に、現場に強いメンバーをアサインし、そのメンバーへ強い権限を与えることが重要となります。組織を作っても、現行組織と横並びにしてしまうと、上記の背景から十分に力が発揮できないと思います。また、上記に加えて、経営層が深く関わり、経営の意思であることを示していくことも大切になってきます。

 

3つ目の人材の育成は、IPAの「DX白書」でも報告されている通り、欧米に比べてITリテラシーが低く、その取り組みも少ない結果となっています。現代においてパソコンやインターネットといったIT機器は一般的になってきたものの、日本全体としてはその利用における基礎スキルが不足しているのが実情です。会社で利用するシステムについて、業務部門は利用するだけ、何かあればシステム部門への問い合わせ、構築時もシステム部門依存が多いのではないかと思います。また、そのシステム部門も、外部ベンダーへの依存率が海外と比べて高く、自社にそのスキルが十分にない状況となっています。これにより、いざDXを進めようとしても、デジタル関連の知識を持った人材が社内で不足し、社内で戦略や計画を立てることができない、進めることができないということになっているのではないでしょうか。

この対応には、時間がかかると思いますが、会社としての方向性・戦略を決め、その実現に必要なスキルが何かを定義し、その育成計画を定義していくことが重要です。もし、既にベンダーが入っているのであれば、任せるだけではなく、そこに人を張り付けて一緒に作業する、場合によっては作業の中にその教育も含める等の対応はすぐにでもできるのではないかと思います。

 

おわりに

いかがだったでしょうか。今回はDXを推進する上でのポイントを中心に考察をしてみました。やはり基本は、きちんと言葉の定義をし、それを全体で理解・共有することなのではないかと思います。皆様がDXを推進する上での参考となれば幸いです。

今回のポイントで触れました、今後の人材について、会社の戦略の中でよく登場するCSVについて、今後機会を見て、考察をしていきたいと考えています。

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